堅物社長にグイグイ迫られてます
「俺は光太郎の父親にちょっと挨拶してくるから。お前は先に料理でもとって食べててくれ」

「分かりました」

「迷子になるなよ」

「なりませんよっ」

広い会場で人も多いけれど、さすがの私もこんなところで迷うわけない。からかわれたことに少しムッとした表情を向けると、御子柴さんは軽く笑ってこの場を後にした。その背中を見送りつつ私はさっそく料理を取りに行くことにする。

なにから食べようかと迷ったけれどまずは前菜からにした。ミニトマトやオクラなど彩の良い野菜とエビがゼリー状にして固められているものや、スモークサーモンとアボカドを重ねて交互に並べた上にチーズを散らしてあるものなど、見た目がおしゃれな料理ばかり。たくさんある中から気になったものを選んでお皿に乗せていく。

会場の端っこの方へと移動してお皿の上の料理をもくもくと食べながら会場内の様子を見渡していると、その中でも一際目立つ集団が目に入った。そこでは一人の長身男性を取り囲むように若い女性たちの集まりができている。

「あれ?御子紫さん」 

その中心にいる人物はどう見ても御子柴さんだ。

芝さんのお父さんに挨拶に行くと言っていたけれど、どうしてあんなところで若い女性陣に取り囲まれているのだろう。
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