堅物社長にグイグイ迫られてます


それからしばらくして予定より三十分遅れで御子柴商事の創立記念パーティーの式典が始まった。

私は会場の後ろで御子柴さんと並んでステージの様子を見つめる。

開会の言葉から始まり社長の挨拶へと移る。司会の男性の紹介でステージに登壇したのは、白髪まじりの髪のすらっと背の高いスーツ姿の年配の男性だった。

一瞬、隣にいる御子柴さんと見比べてしまう。顔の作りや放つ雰囲気がすごく似ている。

「本日はお越しいただきありがとうございます。代表取締役社長の御子柴了です」

声まで似ている。でも、それは当たり前。この人は御子柴さんのお父さんなのだから。

思わずまた隣の御子柴さんをちらっと見てしまう。するとそんな私の視線に気がついたのかステージをじっと見つめていた御子柴さんの視線も私へと移動する。

「そっくりだとでも思っているんだろ」

「え」

「俺と父親のこと」

御子柴さんの視線がまたゆっくりとステージへと戻っていく。

「子どもの頃から言われ続けてたからな。俺は父親似だって―――」

御子柴さんの呟きは大音量の拍手で最後の方はうまく聞き取ることができなかった。

挨拶を終えた御子柴さんのお父さんがステージをゆっくりと下りていく。それから社員表彰、来賓の祝辞、祝典の披露と進んでいき式典は終わった。
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