堅物社長にグイグイ迫られてます
間近で見る御子柴さんのお父さんはさすが貫録があり、そのオーラに圧倒されそうになる。それにこうして近くから見ると本当に御子柴さんそっくりだ。

「悟。まさかお前が本当に彼女を連れてくるとはな」

「父さんとの約束は守りますよ」

「今回だけはな」

「どういう意味ですか?」 

二人の会話はまさに一触即発。御子柴さんとお父さんは顔を合わせてすぐに険悪なムードになっている。

一方の私はそんな御子柴親子を前にどうしていいのか分からずに二人の様子を見守っていた。

すると、不機嫌そうな顔のままの御子柴さんが私へ視線を向けると、そっと腰に手を当てられ少しだけ引き寄せられる。

「こちらは百瀬雛子さん。俺の事務所で事務員をしてもらってる」

「は、初めまして。百瀬雛子と申します」

御子柴さんの紹介のあとに私も自分から名前を告げると、御子柴さんのお父さんに向けて深く頭を下げた。そのままゆっくりと顔を上げると、御子柴さんそっくりの仏頂面が目に入る。さすが親子。そんな表情までよく似ている。

「雛子さん。君は悟と交際してどのくらいになるのかな?」

突然、御子柴さんのお父さんに話を振られて一瞬言葉につまる。

「えっと……一年です」

ここへ来る前のカフェで決めてきた設定を思い出して私は答えた。
< 196 / 300 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop