堅物社長にグイグイ迫られてます
「一年か。まだ交際期間は浅いんだな」

御子柴さんのお父さんがぽつりと呟く。

「それなら雛子さん。悪いが悟とは別れてくれないか?」

「え……」

「君と悟とでは釣り合わないとは思わないのか?悟は御子柴商事の大切な跡取りなんだ。悟にはそれ相応のふさわしい女性がいるんだよ。君じゃなくてね」

「……」

なんだか嫌な言い方だ。

私は本当に御子柴さんと付き合っているわけではないので恋人でもなんでもない。それなのに御子柴さんのお父さんの言葉が胸にチクリと突き刺さる。

何もそこまでハッキリと言わなくてもいいのに……。

どう答えていいのか分からずにいると、すかさず御子柴さんが割って入ってきてくれた。

「父さん。そんな言い方しなくていいだろ。それに、もう何度も言ってるが俺は御子柴商事を継ぐ気はないし、父さんが決めた相手と結婚をする気もない」

「悟。それはお前のわがままだ。御子柴家に産まれたからには御子柴家が代々守ってきた御子柴商事という会社を今度はお前が継いで守っていかないといけない。そうだろ?」

「俺は、」

「お前は今すぐ建築家なんていう仕事はやめろ。お前がなぜそんな職に就いたのか理解ができない」

吐き捨てるようにそう言って、御子柴さんのお父さんは大きなため息をついた。その近くで芝さんがオロオロとした様子で御子柴さんのお父さんと御子柴さんの顔を交互に見ている。
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