堅物社長にグイグイ迫られてます
私は御子柴さんのお父さんの目を真正面からじっと見据えた。

「たしかに建築家は他にもいます。でも、だからといって代わりがいるわけではないです。御子柴さんには御子柴さんにしかできないデザインがあります。御子柴さんの設計を待っている人がたくさんいるんです」

言い出したら言葉が止まらなくなった。もっとうまく伝えたいのに感情が先走りしてしまい思ったことを次々と口にしてしまう。

「それに御子柴さんは建築家という仕事に誇りを持っています。毎日朝から夜まで仕事に打ち込んでいるし、休日も返上して働いています。決して建築家という仕事を遊びでやっているわけではありません。だから御子柴さんはこれからも建築家の仕事を続けます」

そこまで言うと御子柴さんを振り返り「行きましょう」と声を掛けた。

これ以上この場にいたら御子柴さんのお父さんにまたどんなひどいことを言われるか分からない。心無い一言を御子柴さんに聞かせたくはない。

私は、御子柴さんのお父さんに一礼すると、御子柴さんの手を引いて会場を後にした。


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