堅物社長にグイグイ迫られてます


ホテルの敷地内を歩き続けて辿り着いたのは、大きな噴水のある中庭のような場所だった。

あたりはすっかり暗くなっていて、こんな時間に外へ出る人はいないのか中庭には私と御子柴さんしかいない。

「ごめんなさい」

噴水の前までくると開口一番に私は御子柴さんに謝罪する。

「余計なことはしないっていう約束を破ってしまいました」

ここへ来る前のカフェで御子柴さんからは”余計なことは何もするな”ときつく言われていた。もちろんしっかりと覚えていたけれど……。

「御子柴さんのお父さんの言葉がどうしても許せなくて」

我慢ができなかったし、あれ以上好き勝手言わせたくなかった。

「御子柴さんは遊びで建築家をやっているわけではないし、建築家としての御子柴さんの代わりなんていません。それなのに、そんな御子柴さんに対してお父さんのあの言葉はとてもひどいです」

今、思い返すだけでも腹が立つ。そんな気持ちを静めるために私はひとつ深呼吸をした。

「私は子どもの頃から夢とか何もなくここまできたので。建築家になるという夢を、お父さんに反対されながらも叶えた御子柴さんのことをとても尊敬するしかっこいいと思います」
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