堅物社長にグイグイ迫られてます
真剣に今の自分の気持ちを伝えた私のことを御子柴さんはしばらく見つめていたけれど、やがてきつく閉じられていた彼の口元がフッと綻んだ。

「お前に励ましてもらうようじゃ俺もダメだな」

言いながら右手で自分の髪の毛を乱暴にかき回す。すると、その手がふと私の方へ向かって伸びてきたかと思うと手首をぎゅっと掴まれた。

「え……」

そのまま強く引き寄せられ、気が付くと私の体は御子柴さんの腕の中にすっぽりとおさまっていた。

えっと……この態勢は?

「あ、あの……、御子柴さん?」

「なぁ百瀬。俺を励ましてくれるなら、しばらくこうさせて」

御子柴さんが私を抱き締める腕にぎゅっと力を込める。そしてそのまま私の首元にそっと顔を埋めた。

彼の息遣いが耳のすぐ近くから聞こえてくるし、彼の髪が頬にあたってくすぐったい。私に覆いかぶさるように抱き付いてくる力は少し痛いくらいだ。

それでも私はそのまま御子柴さんを受け入れた。だって、いつも強気で弱いところなんて見せない御子柴さんが、こんな私にすがりたくなるくらい参っているってことだと思ったから。
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