堅物社長にグイグイ迫られてます
「い、いえ。そういうわけじゃなくて。今はちょっと別のことを考えていて」
「別のこと?」
佐原さんが不思議そうに首を傾げる。やっぱり佐原さんにも御子柴さんの婚約者と名乗る園田さんのことや、彼女が言っていた【御子柴設計事務所がなくなるかもしれない】ということを話した方がいいのかもしれない。
「あの、佐原さん」
そう口を開いたときだった。事務所の扉が勢いよく開き、外出中だった御子柴さんが戻ってきた。ということは必然的にこの話題はおしまいだ。
「おかえり、悟」
「おかえりなさい」
私と佐原さんがいつものように声を掛けるけれど、それが聞こえているはずなのに御子柴さんからは返事がない。ずかずかと大股で自分のデスクまで歩いていくと、どかりとイスに腰をおろした。
「はぁ……」
それから深く息を吐き出す。その姿に私と佐原さんは同時に顔を見合わせた。
「御子柴さん機嫌悪そうですね」
「うん。あの様子だとまた何かあったっぽいね」
「なにがあったんでしょう?」
「聞いてみよっか」
そんなことを佐原さんと小声で話していると、御子柴さんが先に口を開いた。
「――佐原。悪いがあの件は白紙だ」
その声はやはり機嫌が悪いのかいつもよりもだいぶ低い。
「あの件?」
すぐに思い浮かばないのか佐原さんが首を傾げる。
「商業ビルの設計の件だ」
「ああ、うん。あの件ね」
「今担当者と会ってきたんだが別のやつに任せることになったと言われた」
「えっ。今になって担当変え?どうして?」
佐原さんの問いに御子柴さんは目頭を押さえてため息をつく。
「別のこと?」
佐原さんが不思議そうに首を傾げる。やっぱり佐原さんにも御子柴さんの婚約者と名乗る園田さんのことや、彼女が言っていた【御子柴設計事務所がなくなるかもしれない】ということを話した方がいいのかもしれない。
「あの、佐原さん」
そう口を開いたときだった。事務所の扉が勢いよく開き、外出中だった御子柴さんが戻ってきた。ということは必然的にこの話題はおしまいだ。
「おかえり、悟」
「おかえりなさい」
私と佐原さんがいつものように声を掛けるけれど、それが聞こえているはずなのに御子柴さんからは返事がない。ずかずかと大股で自分のデスクまで歩いていくと、どかりとイスに腰をおろした。
「はぁ……」
それから深く息を吐き出す。その姿に私と佐原さんは同時に顔を見合わせた。
「御子柴さん機嫌悪そうですね」
「うん。あの様子だとまた何かあったっぽいね」
「なにがあったんでしょう?」
「聞いてみよっか」
そんなことを佐原さんと小声で話していると、御子柴さんが先に口を開いた。
「――佐原。悪いがあの件は白紙だ」
その声はやはり機嫌が悪いのかいつもよりもだいぶ低い。
「あの件?」
すぐに思い浮かばないのか佐原さんが首を傾げる。
「商業ビルの設計の件だ」
「ああ、うん。あの件ね」
「今担当者と会ってきたんだが別のやつに任せることになったと言われた」
「えっ。今になって担当変え?どうして?」
佐原さんの問いに御子柴さんは目頭を押さえてため息をつく。