堅物社長にグイグイ迫られてます
私はきっと御子柴さんに嫌われてしまった。

普段から仕事でミスの多い私はもともと御子柴さんには良く思われていないと思っていた。むしろずっと嫌われていると思っていた。今まではそれでも何とも思わなかったのに、今は御子柴さんに嫌われたくない。

『私なら絶対に御子柴さんみたいなタイプとは付き合いたいとは思いません』

『俺もお前のようなドジ女だけは絶対にごめんだ』

いつかの飲み会の席での会話を思い出す。

前職を辞めてからなかなか次の就職先が見つからなかった私のことを雇ってくれた御子柴さんにはとても感謝をしている。でも、あまりにもきつく怒られてばかりで彼のことを苦手だと思うときもあった。私たちは絶対に相容れない関係だと思っていた。

だから"御子柴さんと付き合いたいとは思わない"という言葉はあのときの私の本心だった。けれど"俺もお前のような女はごめんだ"と返した御子柴さんの言葉は本心じゃなかった。あのときの御子柴さんは私への想いを必死に隠していたんだ。

それなら私は御子柴さんの気持ちを知らなかったとはいえ『御子柴さんみたいな人とは付き合いたいとは思わない』なんてひどいことを言ってしまった。あのときも私は知らない間に御子柴さんのことを傷付けていたんだ。

私なら片想いしている相手に"付き合いたいとは思わない"なんてハッキリと言われてしまったら傷付くし、悲しいし、もう望みはないんだと相手のことを諦めると思う。
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