堅物社長にグイグイ迫られてます
御子柴さんと付き合って今日でちょうど一年が経つ。

私は相変わらずうっかりミスが多くて気が付けばいつもなにかドジを踏んでいて、恋人関係になった今でも御子柴さんには厳しく怒られてばかりいる。

それでも今の私は気付いている。

その中に御子柴さんの優しさが隠れていて、恋人になる前も今も私のことをさり気なくいつも気にかけていてくれることを。

決して甘くはない彼だけど、私はそんな御子柴さんのことが大好きだ。

「悟さん」

そう声を掛けると御子柴さんの足がピタリと止まって私を振り返る。

「お前、なんだいきなり。その呼び方……」

目を見開き、その表情が少し驚いている。

たぶん私が初めて名前で呼んだからだと思う。

付き合って一年。恋人同士になっても何となく御子柴さんのことを名前で呼べなくて敬語も抜けなかった。

でも、今日から―――この婚姻届を出した瞬間に私たちは夫婦になる。だからちゃんと彼のことを名前で呼んで敬語もやめよう。

「私、悟さんのこと大好きです。だからこれからもよろしくね」

そう伝えると、相変わらずの不愛想な顔つきの悟さんの口許が柔らかくふっと綻んだ。

「そんなこと言ってお前、今夜は覚えてろよ」

「えっ、何をですか?私なにか忘れてますか?」

「…………」

「悟さん?」

再び歩き出した背中に声を掛けると、ボソッとした返事が帰ってくる。

「もういい」

そう言った悟さんの表情はとても楽しそうに笑っていて、私は思わず彼に駆け寄るとその腕にぎゅっと飛びついた。



-end-


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