堅物社長にグイグイ迫られてます
部屋を出ると廊下の突き当たりにある二十畳ほどの広々としたリビングへと向かう。

「失礼します」

一声かけてから日差しがたっぷりと差し込む明るいリビングへと足を踏み入れた。瞬間、美味しそうな香りが鼻をかすめる。

ダイニングスペースにある立派な対面式のキッチンでは、御子柴さんが片手でフライパンを器用に揺すっているところだった。目が合うと「そこに座っていろ」と声を掛けられる。

促されるままに私はダイニングテーブルのイスを引きゆっくりと腰を下ろした。けれどなんだかそわそわと落ち着かない。御子柴さんの自宅にいる自分が信じられずに意味もなくリビングの中をぐるぐると見渡してしまう。

広々とした部屋には、六十インチ以上はありそうな大型テレビの他、L字型のソファ、ガラスのローテーブル、そして私が今座っているダイニングテーブルが置かれているだけ。全体的にすっきりとした印象のある部屋だ。
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