堅物社長にグイグイ迫られてます
「ん!おいしい」

仕事中はいつも厳しくて鬼のようにこわい御子柴さんからは想像もできない優しい味だ。

気が付くと御子柴さんの手作りオムライスはあっという間に私のお腹の中に消えていた。もったいないのでお皿に残るお米を一粒も残さないようにスプーンに救っていると、向かいの席からふっと笑い声が聞こえた。

「お前、そうとう腹減ってたんだな」

顔を上げると口元を緩めて笑っている御子柴さんと目が合った。思わずスプーンを持ったまましばらく見惚れてしまう。

普段は無口でクールで常に不機嫌そうな表情の御子柴さんが控えめながらも笑っている。

御子紫さんと出会って三年が経つけれど彼の笑顔をこんなに近くで見たのは今が初めてかもしれない。

御子柴さんって笑うと目尻にしわができるんだ。なんかかわいいかも。

普段は怒ってばかりでこわい上司の意外な可愛いチャームポイントを見つけてしまったことに嬉しくなってつい顔がついついニヤけてしまう。

「おい、なに笑ってんだ」

「いえ、なんでもないです」

そう答えながらも自然と顔が緩んでしまう。
< 70 / 300 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop