君からのヘッドフォン
「栞帆、頑張れよ。またな」


津田くんは手を振ってテニスコートを後にする。

…急に、振り返って私を指差す。


「あっ、栞帆!

次会うときまでに俺の名前、練習しとけっ!

今度俺に会うときはちゃんとしたの名前呼べよっ」


〜っ、な、なんだあいつ…っ。


それだけ言って走り去っていくあいつの背中を見つめて、私は自分の頬に触れた。

あっつ…。

練習しとけって…。

和久…って、呼べってことだよね。
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