この空の果てで
ただ、明らかなのは、キスをされたということだけ。
怖さとか、拒絶とか、そんなことを考える時間すらなかった。
「……びっくりした、よな」
「……ん……」
「……怖かった?」
「……大丈夫、だった」
全然大丈夫じゃない。
机に手を付いていないと倒れてしまいそうに動揺している。
「帰ろうか」
「うん」
差し出された手を自然と握れる。
考えることはなかった。
隣を歩きながらキスを回想してみるけれど、あまりに呆気ない一瞬だった。
よく言う"甘酸っぱい"とか"忘れない味"とか、ああいう言葉では上手く表せないと思う。
劇的な何かがあったわけでもないし、ノスタルジックな雰囲気の教室だったわけでもない。
机を挟んで向かい合っていただけだ。
それが、ただキスに繋がっただけだ。
でも、それなのに。
どうしてこんなに心が温かいんだろう。