犬猿だったはずの同期を甘く誘惑したら



仕事が終わって、俺はとりあえず浮つく気持ちを押し殺して守屋の隣を歩く。



守屋が本当に俺の事を気にしてくれてんのか、全然自信なんかねぇけどとりあえず今日はこの1ヶ月引いた分、攻めようと思った。




『浅香さん、自信持って守屋さんの気持ちをわかったフリして攻めるんです!

そういうのって、結構女子はドキッとしますから』




アテになんのかなんねぇのか分からないけど、とりあえず俺は桜木のアドバイスに乗っかってみることにした。



店について、お決まりの生を2つ頼んで、その勢いに任せて俺は切り出した。


「で?ここ最近、俺の事見てたのは?」



ギクッと守屋が固まるのを見て、割といけるかもしれないと確信した俺は、さらに守屋を試すようにニヤッと笑って言葉を続けた。



「俺が気づかないとでも?」



そんな俺の言葉にどんどん追い詰められているような表情をする守屋は、


「いや、別に...そんなんじゃなくて...」


と否定にもならない弱い言葉をごもごもと並び立てる。




< 32 / 112 >

この作品をシェア

pagetop