バックシャンとよばないで
だが彼女は知らなかった
過去、その凛とした後姿に大人の女を期待して声をかけた男たちは、振り返った女性の優しい笑顔や小動物的なきょとんとした可愛らしさと無垢な表情に
『よこしまな自分が汚してはいけない』
と自らを戒め、去っていたのだということを
ひと時の戯れに軽々しく手を出していいものではないと本能で畏れ、遠く離れたところからそっと振り返って見つめていたことなど、彼女が気づくはずもないのだ
もちろん祖父も、純粋に後姿の美しい女性という誉め言葉として、智絵里をバックシャンと評したのだ
彼女の凛とした後姿と、魅力の方向性が真逆の無垢な可愛らしい顔立ち、その両方を手に入れる男が現れるのは、もう少し先の話であるーーー
Fin☆

