異世界平和はどうやら私の体重がカギのようです~転生王女のゆるゆる減量計画!~
「へっほ、へっほ」
ふぅ、はぁ。
「マリーナ王女、がんばってください!」
「マリーナ王女、ここが踏ん張りどころです!」
……へんっ。なにが、ここが踏ん張りどころ、よ? 私には毎日、毎時間が踏ん張りどころって話よ。
私は耳障りな外野の応援を背中に受け、内心で悪態をつきながら、騎士団訓練場を走っていた。
……そう、私は走っている。
ライとの騎士宿舎での共同生活に突入し、私の忍び食いの手段が断たれた。 すでに丸三日、規則正しい三食以外を口にしていない。
すると、みるみる体重が減った。付随して、踏み出す足が軽くなった。
結果、私は一般的な競歩から小走りくらいのスピードを出せるようになっていた。
「マリーナ、あと一周で休憩だ」
「はい」
並走するライを、忍ぶようにチラリと見上げる。