異世界平和はどうやら私の体重がカギのようです~転生王女のゆるゆる減量計画!~
すると、ひと目でわかる。筋肉隆々のガッシリした首筋に、クッキリと刻まれた歯形……。
うわぁ、痛そう。……ライ、ごめん。
私はなんともいたたまれずに、いそいそと視線を前へ戻した。
なぜ、ライの首筋に歯形が刻まれているか、……話は、昨夜に遡る。
***
一日が終わり、騎士宿舎でライと同室で眠りについた。いや、つこうとした。
けれど、空腹でにっちもさっちもいかず、右を向いても左を向いても、一向に眠りは訪れない。
ちなみにライと過ごすこの部屋は、もともとライが使っていた部屋で、そこに無理矢理私の分の寝台を運び込んだ形だ。
ライは騎士団の階級ピラミッドの頂点に君臨する騎士団長だが、ここは質実剛健を旨とする騎士宿舎。ゆえに、騎士団長の部屋と言えど、広さや備えつけの備品は一般の騎士と変わらない。広さおよそ十五平米のワンルームはひとりなら十分でも、ふたりで過ごすには、はっきり言って超手狭。
事実、気持ちばっかりの衝立で仕切って二台の寝台を並べれば、え?ひとり分のスペースこれだけ?と言った感じ。