異世界平和はどうやら私の体重がカギのようです~転生王女のゆるゆる減量計画!~
私が半分寝ぼけた鈍い頭で、どうしてフライドチキンやドーナツが消えてしまったのか考えを巡らせていれば、頭上にヌッと影がかかる。
つられて目線を向ければ、差し込む朝日で彫りの深い目鼻立ちに陰影をつけた、ライの二割増しの強面がお目見えだ。
「*&□%◇$#”▽+っ——!!」
声にならない悲鳴が、勝手に喉からほとばしる。
はっきり言ってフライドチキンやドーナツよりも、寝起きに与えるライの強面 のインパクトはよほどに大きい。あえて、もう一度繰り返す。今のライはクッキリとついた陰影で怖さ二割り増しなのだからして、その衝撃も推し測ってしかるべきだ。
「……起きたようだな」
ライの低い声に、半ば放心状態のままコクコクとうなずく。
ライはそれを見て小さくうなずくと、寄せていた顔を引かせた。
「お、おはようございます、ライ」
ライの強面を間近に見せられて、眠気は一瞬で消えた。頭は強制的に覚醒し、心臓はバクバクと音を立てて大忙しだ。
「うむ、おはよう。ではマリーナ、支度をしたら朝食だ」