異世界平和はどうやら私の体重がカギのようです~転生王女のゆるゆる減量計画!~
「あ、はい」
見ればライは、すでに隙なく身支度を整えていた。
私も慌てて、寝台を下りる。
「先に食堂で待っている」
動揺しきりの私に対し、ライは表情を変えることもなく、淡々と告げて背中を向けた。
……え?
その時、ライの首筋が赤くなっているのに気づく。先ほどは強面の顔面にばかり目がいっていたが、首があきらかに不自然な赤さだ。
「ライ?」
私は今まさに扉に手をかけようとするライに走り寄り、その腕を掴んだ。
「待ってライ! その首はどうしたの!?」
伸び上がり、ライの首筋に顔を寄せる。
っ!!
近くで見れば、赤さの正体が知れた。ライの首筋には痛々しい歯形が無数にあり、その内のいくつかは薄く血を滲ませていた。
目にした瞬間、全身に稲妻で打たれたかのような衝撃が走り抜けた。