異世界平和はどうやら私の体重がカギのようです~転生王女のゆるゆる減量計画!~


 陛下は苦渋に顔をゆがめ、小刻みに肩を震わせながら、吐き捨てるように告げた。
 ……なるほど。陛下の言葉で、俺の中ですべてに合点がいった。
 王妃様は、テンプーラ王国において、初めて民間から嫁した妃だ。
 しかも王妃様のご実家は、テンプーラ王国の陸の物流を一手に担う一大商家。各国との流通における専売の権利 を多く保有しており、王妃様のご実家が持つ販売物流基盤は、国内外に対して影響力が大きかった。
 それを快く思わない一部貴族らが、この機に乗じて王妃様を失脚させた上で、ご実家にまで責任問題を波及させ、その影響力を削ごうと画策しているに違いなかった。
 ……とはいえ状況を鑑みれば、肥満体のマリーナ様の存在が、新規法案のネックになっていることも否定できなかった。
「けれど陛下、私の至らなさというのも、なまじ間違いではありませんわ。幾度も心を鬼にして、マリーナの食生活を正そうとしたんです。けれど、 いざおいしそうに食べるマリーナを前にすると決意は揺らぎ、正すことができぬままきてしまったんですもの……」
「それはわしとて同罪だろう。なのにヴァーウンド侯爵らは、妃の責任問題とばかり口をそろえる。奴らの魂胆など、わかりきっておるわ」


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