異世界平和はどうやら私の体重がカギのようです~転生王女のゆるゆる減量計画!~


 ……テンツユ川だと!?
 聞こえてきたテンツユ川の名に、心臓がバクバクと壊れそうに音を立てた。
「おい、お前たち! 今の話は本当か!?」
 駆け寄って、騎士らを問いただす。
「う、嘘です! 騎士たる者、マリーナ様がかわいいからと、色恋に現を抜かすなどいたしません! なにより自分、己の身のほどはよく弁えております!」
 騎士から返ったとんちんかんな回答に苛立ちが募る。
 今はほんのわずかな足踏みですら、大きな焦りとなって俺を苛む。
「そうではない! マリーナがテンツユ川に向かったというのは本当か!?」
「は、はい。マリーナ様ご本人が、そうおっしゃっておりましたので……って、あれ? そういやテンツユ川って、たしか今——」
 なんということだ!! マリーナが、テンツユ川に……!
 騎士の続く言葉は聞かなかった。いや、俺にはもう騎士らの戯言を聞いている余裕など微塵もなかった。
 俺は逸る心のまま、弾丸のごとく駆け出していた。
 テンツユ川は現在、二週間にわたる護岸工事の最中。そうして今日はその二週間目、工事完了の日だった。


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