異世界平和はどうやら私の体重がカギのようです~転生王女のゆるゆる減量計画!~


 少年が、しっかりと答えた。
「よし、ではこれからこのロープを伝って全員で川岸まで戻る」
「あたし、がんばるっ!」
「いや、君はこのまま俺が抱えていく。いいな?」
「うんっ!」
 少女は元気よくうなずいた。
「君はひとりで伝っていけそうか?」
「はい、大丈夫です!」
 少年もまた、力強く答えた。俺は腕に通していた輪状の浮具を少年の手に握らせた。
「先頭は水の抵抗が一番かかるから、俺が行く。君は、俺に続いて渡るんだ。身動きを妨げる裾よけと腰紐ははずし、その上でその浮具をかぶれ」
「は、はい!」
 俺の言葉を受けて、少年はまず、俺が抱える少女の上半身から裾よけを抜く。次に自らの体から、濡れそぼち体に張りつく裾よけを、難儀しながら脱いでいく。
「マリーナ、君に最後を任せる」
 少年の動向を見守りつつ、自身と少年をつなぐ腰紐を解くマリーナに告げる。
 このような状況下での殿は、体力的にも精神的にも負担が大きい。


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