異世界平和はどうやら私の体重がカギのようです~転生王女のゆるゆる減量計画!~
スロウは肩を震わせて、最後は声を詰まらせた。
「スロウ、よく話してくれた。これまでの発言は証書記録として文章に起こし、証拠として議会に提出させてもらう。ただしこれは絶対にお前の、あるいは、お前の実家への不利益にはなりえない。俺が騎士団長の名において約束しよう。それから前言の通り、お前の犯した軍務規律違反は不問。騎士団に残り、これまで通りの職務に従事せよ」
「……騎士団長、結果的に俺の実家が輸入専売の権利を得る日は訪れず、親父の代で商売はたたむでしょう。だけどあなたのおかげで、俺はここに残らせてもらえる。騎士を続けることができる。これで幼い弟妹を路頭に迷わせることもない。すべて、……あなたのおかげです。ありがとうございました」
スロウはスッと席から立ちあがると、どこか振りきれたような、肩の荷を下ろしたかのような、そんな万感入り混じる表情で俺に頭を下げた。
「いいやスロウ、お前の実家の商売はたたむにはまだ早いぞ」
「え?」
俺の言葉に、顔を上げたスロウは不思議そうに首を傾けた。
「リィ・ヴァーウンドがお前にちらつかせた権利は、俺がお前に授ける。俺は奴とは違い、王妃様より正式にその権限を委譲されている」