異世界平和はどうやら私の体重がカギのようです~転生王女のゆるゆる減量計画!~
ヴァーウンド侯爵の目論見を暴くにあたり、俺はあらかじめ王妃様から個人資産の一部、そして実家の有する一部権利の譲渡など、いくつかの行使権限を委譲されていた。
スロウから得た証言はまさに俺たちが求めていた重要証拠。これにより、マリーナと王妃様の追放が立ち消えとなり、王妃様のご実家も不当な追及から解放される。これらを鑑みれば、輸入専売の権利のひとつをスロウの実家に授けたとて安いものだ。
「そんなっ、だって俺……っ!」
まん丸に見開かれたスロウの目に、涙の膜が張る。スロウの声は震えていた。同様に全身も、小さく震えていた。
「いい、それ以上言うな」
「騎士団長……、なにからなにまで、本当にありがとうございます!」
スロウは涙ながらに、俺に向かって直角に腰を折った。
「ではスロウ、この件はこれで決着だ。師団長には俺の方から伝えておく、通常業務に戻れ」
ところが俺の告げた決着という言葉にも、スロウはますます頭を低くするばかりで、一向に頭を上げようとしない。困り果てた俺は席を立って向かい側に回り込むと、スロウの震える肩をトントンッと叩く。