異世界平和はどうやら私の体重がカギのようです~転生王女のゆるゆる減量計画!~
「うるさい! 黙れ! ……おい、なにをする!? その手を解け!!」
「騎士団長、これらの手紙はすべてヴァーウンド侯爵が差出人になっております」
喚き立てるリィ・ヴァーウンドを尻目に、文箱を開けた副団長が、俺に取り出した手紙束を差し出す。
「待て! 離せ! おい、見るな! 見るなー!!」
リィ・ヴァーウンドは拘束を解こうと身をよじって暴れるも、一度としてまともな訓練を受けたことのない奴が、上級官になってなお日々鍛錬を怠らない師団長らを跳ねのけられるわけもない。
俺はその間に、すばやく受け取った手紙に目を走らせる。
「これらは軍務規律違反の関連証拠として差し押さえる」
「ふざけるな!? その手紙を返せ!」
こうして捜索開始からものの一分、重要証拠はいとも簡単に発見された。
手紙には案の定、マリーナの減量阻止の指示が事細かに記されていた。
ただし、手紙の最後には必ず、読み終えたら燃やすようにと記されていたのだが、怠惰なリィ・ヴァーウンドは手間を惜しんだのか、それを正しく遂行していなかった。