異世界平和はどうやら私の体重がカギのようです~転生王女のゆるゆる減量計画!~

「お母さま、私、知っていたよ。でもお母さま、ライを責めないで? ライが私に伝えたのは、私を追い込むためなんかじゃない。ライはね、私の心を守るために教えてくれたの。事実、私がもしなにも伝えられないまま、形ばっかりの適当な減量をして、お母さまやお祖父ちゃんお祖母ちゃんにまで迷惑をかける結果になっていたら、私の心は壊れていたよ」
「マリーナ……」
 お母さまは感じ入った様子で、声を詰まらせた。
「お母さまたちが、私を大事に思ってわざと伝えなかったこと、よくわかるの。だけどお母さま、私だってお母さまたちが大事なの。私の努力でみんなを守れるなら、精いっぱいの努力で守りたいって思ったんだ」
「マリーナ、ほんの赤ちゃんだとばっかり思っていたのに……。あなた、いつのまにか立派な淑女に成長を遂げていたのね。本当に、我が子の成長というのは目まぐるしいわ」
 お母さまはそう言って、少し寂しそうに微笑んだ。
「……だけど赤ちゃんのあなたも、淑女のあなたも、どっちも私の自慢の娘よ」
 お母さまの腕にキュッと抱きしめられて、なんだかこの瞬間、私は自分がほんの赤ん坊に戻ったみたいな錯覚がした。


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