異世界平和はどうやら私の体重がカギのようです~転生王女のゆるゆる減量計画!~


『実録! マリーナ王女が大奮闘、少年少女救出の舞台裏!! 〜テンツユ川の奇跡〜』
 手の中のかわら版。その衝撃的な見出しに、私のかわら版を持つ手がプルプルと震えていた。
 しかも、臨時発行されたらしいこのかわら版は、全面が表題の見出しの記事で埋まる。ザッと斜めに目を通しただけでも、「これぞ淑女の中の淑女」だの「人命のため、てらいなく裾よけを差し出す雄々しい勇姿」だのと、こっぱずかしい小見出しが所狭しと踊る。
「……淑女と雄々しいって、一緒に並んでいい言葉だっけ?」
 ふと、疑問に思ってつぶやく。
「なにを言うのマリーナ! どれも如実にあなたを表しているわよ!」
「そっか……」
 お母さまの力説に、圧され気味にうなずく。
「マリーナ、王宮に戻っていらっしゃい。今日の議会の件はもちろん、この一件もまた皆の知るところよ。あなたは追放どころか、皆の諸手をあげた歓迎を受ける。もちろん健康のために減量は続けてほしいけれど、それがここである必要はないわ。これ以上、ここで無理な減量メニューで追い込む必要はなくなっているんですもの。午後の議会でここに来られなかったお父さまも、同じ考えよ」


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