異世界平和はどうやら私の体重がカギのようです~転生王女のゆるゆる減量計画!~
お母さまが、優しくささやく。
お父さまとお母さま、ふたりと一緒にいるのは、甘えられて、ただただ居心地よくて安心。だけど今、私が心から欲しいのは、望むのは、そんな絶対的な安心じゃない……。
「ありがとう、お母さま。だけど私、このまま騎士団でライと一緒に減量を続けるよ。それからね、目標体重も目標期間も、このまま変更しない。だって私は、ちっとも無理なんてしてないから! 健康に痩せてうんと綺麗になるから、見てて!?」
私は目的を、『みんなを守る』から『ライのために綺麗になる』へと切り替えて、減量の続行をお母さまに宣言した。
「……マリーナ。そう、わかったわ。あなたの意思を尊重しましょう。あなたが綺麗になって王宮に帰って来るのを楽しみに待っているわ。お父さまにも、そう伝えておくわ」
「うんっ!!」
こうしてお母さまは私に優しい笑みを残して、待たせていた四人乗りの大型馬車に乗り、ひとり王宮へと帰っていった。
ちなみに、お尻が大きな私はいつも、ふたり座りのシートを占拠して座る。それを知るお母さまが四人乗りの大型馬車で来たのは、最初から私を連れ帰るつもりだったから。
……ありがとう、お母さま。
午前の議会で撤回が決まってすぐに、迎えに駆けつけてくれた親心がジーンと心に染みた。