異世界平和はどうやら私の体重がカギのようです~転生王女のゆるゆる減量計画!~


 そして音と同時に、雑多とした人の気配が騎士団施設に向かってくるのがわかった。俺はそのまま、来訪者に意識を向けた。
 すると直後、王宮侍従のお仕着せを着た男たちが、騎士団施設の門から転がるようにして施設内になだれ込んだ。その先頭にいた男が、見知った顔だった。
「おい侍従長!? いったい何事だ!?」
 男は王宮の侍従を束ねる侍従長で、侍従長自らが王宮からの使者として立つというのは、そうそうあることではなかった。 これだけで、ただならぬ状況が知れる。
「っ! な、なんとライ・ザック騎士団長!!」
 侍従長は俺の姿を見ると、目を見開いた。
「侍従長、王宮からの伝言か!? それは、マリーナに関する物か!?」
「ハッ! 王宮に戻られたマリーナ王女の状態に関しまして、ライ・ザック騎士団長に陛下と王妃様よりのお言葉でございます!」
 侍従長の言葉で、胸に重くのしかかっていたマリーナの身の安全に対しての憂慮が消える。
「そうか! マリーナは今、王宮にいるのだな!」 
 マリーナが何人にも脅かされていない現状を知ったことで、わずかにではあるが肩の力を抜けた。


< 263 / 325 >

この作品をシェア

pagetop