異世界平和はどうやら私の体重がカギのようです~転生王女のゆるゆる減量計画!~
だけど衝立の向う側、ライもあの晩はずいぶんと寝返りをして、なかなか寝つけずにいたみたいだった。
パタンッ——。
ん? 上がった、小さな物音。
反射的に物音のした方向に首を巡らせれば、流し台の上に、立てかけて乾かしていたらしい調理用の小型ブラシが倒れていた。
……ブラシ。
倒れたブラシを見ていればまた、ライと騎士宿舎で暮らし始めた頃の一幕が思い出された。
あの日の晩ご飯は、私の大好物のハンバーグだった。なんだか肉っぽさが少なくて、あっさりとしたハンバーグは、十中八九大豆製品かなにかでかさ増しがされていた。だけど久しぶりのハンバーグは、それでも涙が出ちゃうくらいおいしかったっけ……。
私は晩ご飯を終えて部屋に戻った後も、口をもっちゃもっちゃと遊ばせて、おいしさの余韻を追いかけていた。
寝がけになってもまだ、私は口をもっちゃもっちゃさせていた。
『マリーナ、来なさい』
すると、ぬっと私の前に現れたライが、強引に私の腕を取った。