異世界平和はどうやら私の体重がカギのようです~転生王女のゆるゆる減量計画!~
『え?』
そうしてライは私の手を引いてズンズンと洗面台に連行すると、私の右手に歯ブラシを握らせた。
『ちゃんと磨かんと、虫歯になるぞ』
『ラ、ライ? 私さっき、歯磨きしたよ?』
目を泳がせながら、答えた。
『……いいや。長く歯ブラシを握って迷ったあげくに、歯ブラシを置き、磨かずに戻ってきたのを知っている』
言い当てられ、その衝撃に私は歯ブラシを取り落としそうになった。
目も、自然と泳ぐ。
『へ、へへっ? そう、だったっけ?』
笑って取り繕ってみせたけど、私は内心で我が身の阿呆さ加減に泣いた。
……うん。あれは今思い出しても、恥ずかしすぎる。あの日の歯磨き粉は、ものすごく目に染みたっけ。
ちなみにそれ以降、どんなにおいしいご飯の後でも、私が歯磨きだけは自発的に済ませるようになったのは言うまでもない。
だけど、考えてみれば不思議だ。
どうしてライは、私が長く迷ったり、握った歯ブラシを戻したり、まるで全部見ていたみたいに知っていたんだろう? ライが四六時中私を見てるってことはないだろうし、ライはもしかして、超能力でも持ってるのかな?