異世界平和はどうやら私の体重がカギのようです~転生王女のゆるゆる減量計画!~
「マリーナ王女、ライ・ザックと申します。早速、これからの減量計画について打合せをさせていただきたい」
……たぶん、私、逃げられない。
この瞬間、私は目に見えない圧倒的ななにか への敗北を悟った。
灰のようになった私を、メラメラと燃えるような三対の目が見つめていた。けれど、向かい合うライ・ザックの目は静かだった。彼の瞳の色は、強面に似合わない湖面みたいな澄んだブルー。 そうして間近に見て、気づく。美しいのは、目だけじゃない。
一見すれば筋肉隆々で強面だけど、よく見るとライ・ザックは整った美しい容貌をしていた。
……いや、だからといってライ・ザックがおっかないことに違いはない。
「……あの、打合せの前に呼び名ですが、ライと呼んでも? 私のことも敬称は不用で、マリーナでかまわないので」
実際に呼んでみて、確信した。
ただ「ライ」と呼ぶ方が、恐ろしさやら苦手意識が半減する。
「もちろん、私 のことはライでかまいません。しかし、マリーナ王女に敬称なしというのは……」