異世界平和はどうやら私の体重がカギのようです~転生王女のゆるゆる減量計画!~


 ライが、私の呼び名の部分で逡巡を見せる。
「なんだなんだ、そんなのはかまわんぞ、ライ・ザック。これから二人三脚で減量に挑むのだ。その方がやりやすかろう? それに敬語も不要だ」
 お父さまがライの分厚い肩を気安く叩きながら言うと、ライ はそれにうなずいた。
「では、改めてマリーナ。標準体重を目標に、共にがんばっていこう」
 差し出された、グローブみたいに大きくて、ガッシリとした分厚い右手。
 本音を言えば、これっぽっちだってがんばりたくない……。
 なのに 私を取り囲む三対の目が、逃げも反論も許してくれない。チラリと見上げたライの目は、一見すれば静か。けれどその奥には、たしかな決意が透けて見えた。
 うぅぅぅ。ライの目からも、逃げられそうにない……。
「よろしくね、ライ」
 仕方なく、私はライの大きな手に、そっと自分の右手を重ねた。力強くギュッと握られると 、お肉がむきゅっと沈み込む。
 ……うわぁ、ライの手ってすごく大きい。
 私の手をすっぽりと包み込む逞しい感触に、胸がドキンと跳ねた。
 


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