異世界平和はどうやら私の体重がカギのようです~転生王女のゆるゆる減量計画!~


 ライの手のひらで塞がれていた視界が、今度は向かい合わせのライの胸に遮られていた。
「……ライ」
 だけど不思議なことに、私のまぶたの裏側には、想像すればライのあらゆる表情が浮かびあがる。
 ……今のライは、きっと眉間に深く皺を刻んだ怖い顔をしてる。
 だけどそれは、けっして不機嫌なわけじゃない。
「ねぇライ? なにを困ってるの?」
 ライの眉間の皺は、困ったときや意表を突かれたときに深く寄る。そんな眉間の皺すらも、今は愛しくて仕方ない。
 私はライの胸に、唯一ちょっとだけ自由の利くほっぺを、スリスリと寄せて問いかけた。
「……マリーナが、かわいすぎて困っている」
 え!? 長い沈黙の後に、ボソリとつぶややかれたのは、耳を疑うような台詞。
 だけど、動揺の冷めやらない私に、さらなる追い打ちがかかる。
「ほかの男に触れたままでは、マリーナの唇が汚れる」
「っ!!」
 言葉と同時に、ライの腕にわずかな隙間ができた。見上げた私の顎に、ライの右手が当てられた。そのままクイッと上向かされれば、頭上にライの影がかかる。
 かかった影は段々と距離を縮め、優しく唇に重なった。触れ合った唇のぬくもりと優しさに、愛しさが弾けた。
 私とライの束の間の逢瀬を、風に揺れる木の葉とお天道様だけが、優しく見下ろしていた。




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