異世界平和はどうやら私の体重がカギのようです~転生王女のゆるゆる減量計画!~


 正直言って、ライの食べ方が丁寧だとか、そんなことはどうでもよかった。 私にとって重要なのは、皿に残る料理だけ。
 皿に残る蒸し鶏が、キラキラとまぶしい。ひと欠け残るベーグルも、輝くばかりで目に染みる。
 ……もしかしてライは、残したりしないだろうか!?
 私は期待を込めて、ますますジーッと、ジーッとライを見つめた。 すると その瞬間、ライと私の視線が絡む。
 私を見つめるライの唇が、薄く開かれる。
 くれる!? 私に、残りはあげるって、そう言ってくれるんだよね!?
「やらんぞ。それよりも、その早食いの習慣は直した方がいい。ゆっくりと時間をかけて食べる 方が、満足感を得られる」
 ライはそう言うと、私が虎視眈々と狙っていた蒸し鶏を丁寧な所作で口に運んだ。
 あ、ぁぁああああっっ!!
 私の期待は打ち砕かれ、あげくちっともうれしくない小言までよこされた。
 ……ライはきっと、その見た目通り血も涙も通っていないに違いない。だって私が見つめていれば、お父さまもお母さまも、いつだって優しく私に譲ってくれたもん。


< 40 / 325 >

この作品をシェア

pagetop