異世界平和はどうやら私の体重がカギのようです~転生王女のゆるゆる減量計画!~
忍び食いもすでに六回目。 私は暗がりを物ともせず、まずは棚から迷いのない手つきでパンを掴む。
「パンはこれ。切り置きのバゲットの真ん中を抜き取れば、意外とバレないから不思議〜。ま、普通はバゲットが夜のうちに短くなるだなんて、誰も思わないか」
こんな言い方はしたく ないが、慣れたものだ。
忍び食いのイロハは、すでに熟知している。バゲットを手にした私は、今度は貯蔵庫に一直線で向かう。
「あ、ハムみーっけ! チーズは……あれ? チーズがないよ?」
貯蔵庫の中を覗き、首をかしげる。
……おかしいな、昨日はたしかにあったのに。もしかして、使いきっちゃったかな?
「探しているチーズはこれか?」
うん?
横からズイッと差し出されたのは、まばゆいばかりのブルーチーズ。
「あ! そうそう、それそれ!」
私は嬉々としてお目当てのブルーチーズに飛びつい……あれ?
飛びつこうとして、しかし直前でビキンッと固まる。