異世界平和はどうやら私の体重がカギのようです~転生王女のゆるゆる減量計画!~
……私だって、本気でライがごまかされてくれるだなんて思ってない。私が本当にごまかしたかったのは、ライじゃなく自分。意志の弱い駄目な自分こそ、私はごまかしたかったのだ。
「はい……」
私はライの目から逃げるようにうつむいて、やっとのことで震える声を絞り出した。
……自分のことだから、本当は誰よりも私自身が一番よくわかっていた。わかっていてこれまでずっと、あえて見ない振り、気づかない振りをして、私にとって厳しい現実に全部蓋をしてきた。
これじゃ駄目だと思っても、意志の弱い私はやっぱり食の誘惑には勝てなくて……。この忍び食いも、誰かが止めてくれなければ私はいつまでだって続けただろう。
食べればお腹は満たされて、だけど心は満たされるどころかいっそう空虚になっていく。それはまさに、際限のない負のループ。
この愚かな行為を重ねるたびに、心がじわじわと蝕まれていくのを自覚していた。だから見つかってしまったこの状況を、どこかでホッとしている自分もいた。
……見つかって安心してるって、おかしいね。
照明の落ちた深夜の王宮廊下を、うつむいたままライの背中にくっ付いて歩 きながら、私の胸の中ではライへの罪悪感、意志の弱い自分自身への失望、そして不毛な現状の終わりに対する安堵など、あらゆる思いが嵐みたいに吹き荒れていた。