異世界平和はどうやら私の体重がカギのようです~転生王女のゆるゆる減量計画!~
「マリーナ、入ってくれ。中で話そう」
たどり着いた私の部屋。ライは扉を開くと、そっと私の肩を抱き室内へと促した。
うかがうようにうつむいていた顔を上げれば、私を見下ろすライの瞳とぶつかった。間近に見るライのブルーの双眸は、常と同じで穏やかに凪いでいて、私を責めもさげすみもしない。
今思えば厨房で見た般若も、ランタンの明かりがライの強面を強調して、そう見せただけ。私でさえ、自分自身にあきれてる。なのに、ライの目は今も寸分も変わらず優しい。……ううん、今だけじゃなく、ライはいつだって私に優しい。
そんなライにきちんと応えられない自分が今、どうしようもなくみじめに思えた。
「……ライ、ごめんなさい! 私っ、駄目で……どうしても食欲が抑えられなくて、ライのことを裏切る真似してごめんなさいっ!!」
ライの優しい眼差しに、極限まで張りつめた思いが弾けた。気づけばあふれる涙と共に、胸にとぐろを巻く感情を叫んでいた。
こぼれる涙を、ネグリジェの袖でぬぐう。だけどぬぐってもぬぐっても、涙はまた新たにあふれて止まる気配がない。
乱暴にグイグイと袖でぬぐっていたら、キュッと腕を掴まれた。