異世界平和はどうやら私の体重がカギのようです~転生王女のゆるゆる減量計画!~


 苦渋が滲む声だった。
 私を抱きしめるライの腕は、怒りから小さく震えていた。ライは私の状況に、まるで我が事のように憤りをあらわにする。そのライの怒りが、私の胸に渦巻く怒りの温度を下げる。
「奴らは狡猾に弱いところを見つけ、突いてくる。それがまさに君で、君が今、奴らに付け入る隙を与えてしまっている。しかし逆を言えば、追及はすべて王族が肥満を抱える現状から波及している。だから君が痩せることで、奴らが付け入る隙がなくなる。奴らの言い分を、両断できる」
 すべて、私の弱さと甘えが生んだ……。
 目の前の現実は、私にとって厳しい。だけど現実を知らないまま、誰かの犠牲の上に成り立つ暮らしを享受することの方が、もっともっと苦しい。
 私はずっと握りしめていた拳からフッと力を抜いて、その手をそっとライの背中に回した。
「ライ、おかげでよくわかったよ。教えてくれてありがとう」
 今も目頭は、ジンジンと熱を持って熱い。わずかにでも気を緩めれば、新たな涙がとめどなくあふれ出る。


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