うたた寝
「なんで?」
「いや、なんでって。いるのかなぁって思って。俺ら、こういう話したことないから」
「……ふーん」
「で、いるの?」
「…お前は?」
「え、俺、…っ?」
自分に話が振られたのが思いもしなかったようで挙動不審に目線を泳がせて、顔を赤色に染める。
「俺は、…えっと、」
「うん」
「…ちょ、何そのにやけ顔」
「ん?面白いなって思って」
このやろう、と軽く肘を横腹に入れられた。
「ごめんって」
「ごめんの全然謝ってない感、似てるよな」
「まぁ、ずっと一緒に居るから似るよ」
「性格は正反対だけどな」
「……」
僕と彼女は正反対。彼女は、真面目で責任感が強くて、馬鹿みたいにお人好しで、頑張り屋さんでどんなことにも真っ直ぐで眩しい。対して僕は、楽な道を探して他力本願で、一生懸命という言葉とは縁遠い人間。
小さい頃、彼女に抱いた感情は羨望。暫くすると、気持ちは軽蔑に変わった。正直なんて馬鹿だ損するだけだと誰にでも優しい彼女を見下していたし、邪険に扱っていた。それでも、彼女は小さい頃と変わること無く優しく僕に接してくれた。
今になって分かったのは馬鹿なのは僕ということで、彼女の優しさに甘え、無下にあしらっていたことなどなかったように日々を彼女と過ごしている。
今も昔も、彼女は僕の憧れだ。
彼との話は次第に恋愛から逸れていって、話がぶり返されることはなく僕達は教室についた。