墜落的トキシック
そのあとも、佐和くんがジト目で浴びせてくる視線を感じながら、黙々と作業を続けて。
綺麗に流し終えて水をとめた、ちょうどそのタイミング。
「久住ー、やってるかー?」
ひょこ、とフェンスの向こうから顔を覗かせたのはニッセンだった。
そのまま中に入ってきて、こちらに歩み寄ってくる。
たしか、今日の放課後は職員会議だと言っていた。
今、終わったところなのだろうか。
「おー!綺麗になってんじゃん~!」
掃除し終えたプールを眺めて、ニッセンは感嘆の声をあげた。
「今、ちょうど終わったところです」
「そうか。って、佐和……?!」
私の背後から口を挟んだ佐和くん。
ニッセンは驚いて目を見開いている。
ああ、わかってしまった。
さっきまでだるそうにプールサイドに座っていたはずなのに、先生の登場に合わせてしゃんとして背後に現れた、佐和くんの思惑。
「もしかして、佐和も一緒に?」
「まあ。プールをたまたま覗きに来たら、久住さんが一人で頑張っていたので」
こいつ……!
こうやって先生の中で株をあげているんだ、と実際の現場を目撃して、改めて。
胡散臭い爽やかスマイルに嫌悪感をつのらせる私とは対照的に、ニッセンは感心したように相好を崩している。