墜落的トキシック
「……ジャージ?」
「貸してやるよ。まだ、シャツ半乾きだろ」
胸元に佐和、と苗字の刺繍が入っている。
学校指定のジャージ。
でも、どうして。
と考えたところでプールでの会話が頭をよぎった。
────あ。
私が『家に忘れた』って言ったから。それで?
ジャージを持ってきているかって聞いたのは、そういうことだったの?
ふわ、と漂う佐和くんの香りが今度は優しく胸の奥をくすぐった。
「……ありがとう。明日、返すね」
「ん、」
まだ若干湿っているシャツの上から、佐和くんのジャージを羽織る。
ちなみに、掃除のときに借りたシャツは教室に戻ってくる前に返してある。
やっぱり、大きい。
袖を少しまくって、それから鞄を持った。
「じゃあ、帰るね」
「……。今日も仁科?」
こくん、と頷く。
プール掃除なんだ、と伝えるとハルは『待ってるよ』と言ってくれたから。
「仲良いんだな」
「うん。……幼なじみだからね」
ばいばい、と手を振って夕焼けの差し込む教室を後にした。