墜落的トキシック



そんなはずあるわけもないのに、と侑吏くんの反論を待っていたけれど。



────なんで何も言わないの、否定しないの。

口を閉ざしたままの侑吏くんに、ごくりと唾を飲んだ。



それじゃあまるで……。




「知りたいよ、花乃のこと」

「っ!」




侑吏くんの言葉に反応して、じわ、と体の奥から熱が這い上がってくる。


何これ何これ、何これ。


知らない感覚に戸惑いながら、口をぱくぱくさせることしかできずにいると。




「────とでも言うと思ったか、ばーか」



んべ、と舌を出した侑吏くん。
冷やかしの笑みが追いうち。



……最悪だ。



タイミングよく鳴り響いた予鈴の音を合図に、私は荷物を鷲掴みにして空き教室を飛び出した。もちろん侑吏くんは置き去りにして。




「侑吏くんのばか!」




腹いせに叫ぶと、後ろからくっ、と笑い声が聞こえて。

なぜか熱くなった頬を手で覆いながら、心の中でもう一度「ばか」と侑吏くんのことをなじるのだった。





< 162 / 323 >

この作品をシェア

pagetop