墜落的トキシック
「大丈夫。ハルに勉強教えてもらうもん」
テスト前は教えてもらいながら、一緒に勉強するし。いつも、それで何とか切り抜けられている。
「おまえ、ほんっとうにあいつのこと好きだな」
私をちらりと横目で見て、侑吏くんが呆れたように言うから。
「好きだよ。私は、ハルのことが好き」
迷うまでもなく、口を動かした。
ハルのことが好きだと、侑吏くんの前ではっきり口にしたのはこれが二度目のはずだ。
一度目はたしか、化学準備室で。
『恋愛なんて遊びだろ』って、あのとき侑吏くんは素っ気なく吐き捨てた。
私がハルに囚われ続けていることは知っているはずだ。
それでも、私が誰に恋い焦がれていようとも、侑吏くんには関係ないはずだった。
はずだった、のに。
「……侑吏くん?」
不自然に声が上ずったのは、驚きからだ。
だって、侑吏くんが。
……まるで打ちのめされた、ような顔してるから。
綺麗な色をしている瞳の奥が細かく揺れている。不安定な水の膜は今にもしずくになって零れ落ちてしまいそうな気さえして。
傷つけられた、といわんばかりの表情だ。
見慣れないその表情に私の中で焦りが生まれる。