墜落的トキシック



「っ!?」



心を読んだかのようなタイミング。
弾かれるように顔を上げる、と。




「何変な顔してんの。ベンキョーだろ、勉強」

「え、」




つん、とすました表情。
さっきまでのが嘘みたい。


『教えてやろうか』ってそのこと、か。
なんだ勉強か、なんて拍子抜けした私は一体、何を期待していたっていうの。




「勉強はハルに教えてもらうんだってば」

「あ? 仁科より俺のが頭いいだろ」

「そ……れは、そうかもしれないけど」




だって侑吏くん、一番だし。
ハルも賢いけれど、侑吏くんに敵わないのは事実。




「じゃあ決まり」




してやったり、口角を上げた侑吏くん。



「んな、横暴な!」




私渾身の抗議の声は、むなしくもタイミングよく鳴り響いたチャイムの音によってかき消された。




認めたくないけれど、今、私の学校生活の中心になっているのは、あろうことか侑吏くんかもしれない、なんて。そんなことを考えて、ゆるく息をついたのだった。





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