墜落的トキシック
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そこからの侑吏くんはとにもかくにもスパルタだった。

酷いの、容赦ないんだよ。



『そんなこともわかんねーの?』

『義務教育からやり直してこいよ』

『馬鹿は馬鹿なりに考えろ』



浴びせられた罵詈雑言の数々を思い返してみると、どうして侑吏くんが私の勉強をみてくれる気になったのかが謎になってくる。


だけど、教えるのは上手い。
そこは悔しいけれど、認めざるを得ない。



説明がわかりやすいの。
本当に頭がいい人って教えるのも上手だっていうけれど、侑吏くんがまさにそのタイプだと思う。


それに、私が少しでも理解できていない素振りを見せると、噛みくだいてよりわかりやすく言いかえてくれる。おかげで、この短時間でもかなり苦手が克服できた気がする。



短時間で詰め込んだせいか、頭がパンクしそうになっていた私を見かねて、今、こうやって休憩時間をとってくれているし。


……そういう気づかいはできるのになあ。



口が悪いところが玉にキズだ。
そこだけ何とかならないかなあ、と思うものの、口が悪くない侑吏くんなんて侑吏くんじゃない気もする。




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