墜落的トキシック
「それ、見てた子がいたらしくて、すごい噂になってんのよ」
「……ああ」
なるほど。
やっと理解した。
侑吏くんの人気度合いを見くびっていた。
まさかものの数日でこんなに知れ渡るなんて、と驚く。うかつに侑吏くんと出歩くべきじゃなかったかな。
出回っている噂では私と侑吏くんが夏祭りデートをした、ということになっているらしい。
たしかに夏祭りには行ったけれど、実情はそんな甘ったるいものじゃない。
強引に連れ出されただけで、デートでもなんでもないのだ。
「嫌だなー、敵視されるのは」
私と侑吏くんの間には何もないのに。
「もう手遅れでしょ」
ちらりと後ろに向けた麻美の視線の先には、北村さんとその取り巻きの女の子たち。
私の方を見てひそひそ話をしているのも、その視線が妙に鋭いのも、気のせいなんかじゃない。厄介なことになったな、とため息をついた。
「気をつけなねー」
「私、そんなにか弱くないし大丈夫」
「まあ、そうよねえ」
「ちょっとくらい否定してよ……!」
む、と頬を膨らませたものの。
次の瞬間、吹き出すように笑った麻美につられて思わず口角が上がった。