墜落的トキシック

安堵したためか急に力が抜けて、首がかくんと折れた。腕もだらんと落ちる。


それから、くらりとめまいがして。


そんな私の異変に気づいた侑吏くんは、手の甲を私の額に当てた。



「熱中症か」

「ねっちゅーしょ……?」

「クソ暑い中、こんなとこに閉じ込められてるからだろ」



そういえば、水分もしばらく取っていない。
頭がふらふらして気持ち悪くて、顔をしかめた。



「飲み物買ってくるから待ってろ」



一言、そう残して背を向けた侑吏くん。
ひとりぼっちになって寂しい、と思ったのはほんの一瞬だった。



「飲め」



侑吏くんはすぐに戻ってきた。

近くの自販機でスポドリを買ってきてくれて、さらにはうまく力の入らない私のためにキャップを開けてくれて。

珍しく至れり尽くせりだ。



ごくごく、と喉に流し込めば体の火照りが少し落ち着いた気がした。
……冷たくて、美味しい。


そういえば、スポドリが格別に美味しく感じるのは、結構ヤバい状態だってどこかで聞いた気がするな、なんて。



「……ありがとう」



素直に、そう口にすれば。
侑吏くんはにやりと口角を上げて。



「惚れた?」

「惚れたりなんかしないからっ!」



でも純粋に嬉しかったんだよ。
駆けつけてくれたことも、心配してくれることも。


それは、認める。



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