墜落的トキシック
.
.
「……はあ」
ぎりぎりだった。
閉店間際のケーキ屋さんに駆け込んで、予約していたケーキの箱を受け取って。
やっとのことでハルの家に到着。
予定よりもかなり遅くなってしまった。
それもこれも、ニッセンが雑用を押し付けるからだよ。
心の中でぶつぶつと文句をぶつける。
ハル、待ってるかなあ。
ケーキ、喜んでくれるかな。
そわそわしつつ、インターホンを押す。
────ピーンポーン
チャイムの音が鳴り終わる前に扉が開いた。
「花乃」
「あ、ハル。ごめんね、予定より遅くなって」
玄関で、靴を脱いで家に上がる。
いつも通りだと思っていた。
ハルが次に言葉を発するまでは。
「随分遅かったね」
「え、」
「こんな時間まで、何してたの?」
背筋がひやりとした。
柔らかい表情、優しい口調。
だけど、声色が凍りつくくらい冷たい。
「怒ってる……?」
待たせてしまったから、だろうか。
でも、普段ならこんなことでハルは怒ったりしないよね。
「怒ってないよ」
「でも、」
「聞いてるだけ。誰と、何してたかって」
誰と、に明確なアクセントがついていた。
わからない。
何が、ハルをこうさせているのか。
だから正直に答えるしかなくて。
「これを、お店まで取りに行ってて」
手に持った紙箱を軽く示す。
ハルはそれを一瞥して。
「その前」
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「……はあ」
ぎりぎりだった。
閉店間際のケーキ屋さんに駆け込んで、予約していたケーキの箱を受け取って。
やっとのことでハルの家に到着。
予定よりもかなり遅くなってしまった。
それもこれも、ニッセンが雑用を押し付けるからだよ。
心の中でぶつぶつと文句をぶつける。
ハル、待ってるかなあ。
ケーキ、喜んでくれるかな。
そわそわしつつ、インターホンを押す。
────ピーンポーン
チャイムの音が鳴り終わる前に扉が開いた。
「花乃」
「あ、ハル。ごめんね、予定より遅くなって」
玄関で、靴を脱いで家に上がる。
いつも通りだと思っていた。
ハルが次に言葉を発するまでは。
「随分遅かったね」
「え、」
「こんな時間まで、何してたの?」
背筋がひやりとした。
柔らかい表情、優しい口調。
だけど、声色が凍りつくくらい冷たい。
「怒ってる……?」
待たせてしまったから、だろうか。
でも、普段ならこんなことでハルは怒ったりしないよね。
「怒ってないよ」
「でも、」
「聞いてるだけ。誰と、何してたかって」
誰と、に明確なアクセントがついていた。
わからない。
何が、ハルをこうさせているのか。
だから正直に答えるしかなくて。
「これを、お店まで取りに行ってて」
手に持った紙箱を軽く示す。
ハルはそれを一瞥して。
「その前」